■その SEO は、本当に「いま?最新の」SEO か?
インターネットや雑誌で、「今年の SEO はこれだ」「最新 SEO」と紹介されている記事の中には、実は全く最新ではないどころか、5年も前から常識化しているものも少なくない。
確かに、検索技術の進化により新たに登場した機能やサービスにより、あらためて対応方法を検討しなければいけなくなった、SEO の話題は存在する。たとえばパーソナライズ検索やリアルタイム検索、ソーシャル検索、構造化データ、URL 正規化(canonicalization)を制御する rel=canonital などは、少なくとも2005年時点では考慮する必要がなかった話題だ。
しかしながら、「最新 SEO」として紹介されることが少なくない、リンク分析系アルゴリズムの大半は、実は「最新」ではなかったりする。ここで検索?SEO 業界で10年以上働く筆者の過去の知識と経験とを照らし合わせながら、事例を紹介していこう。
■外部リンクにおける IP アドレスの分散化
外部リンク構築時において、より多数のページ(サイト)から支持?投票を受けているサイトの方が、優れたサイトである可能性がある。これがリンク分析アルゴリズムにおいて、IP アドレスの多様性(diversity)を1つの要素としてみなしているといわれる所以である。この議論は、実は2004年時点ですでに欧米の SEO 業界では常識化している事項である。
■外部リンクにおけるドメインの分散化
これも同じく、リンクの多様性評価の1つの要素であり、上記と同様に、2004年時点で欧米の SEO 業界では外部リンク対策時に検討すべき項目として定着している。
■1ページで多数のキーワード対策を行わない
検索エンジンは、キーワードについてより専門的な、詳しいページがより関連性が高いかもしれないと判断する。逆に、1ページで話題が多数に散っているページは、それほど詳しくないかもしれない。したがって、原則として「1ページで多数のキーワードで SEO を行わない」「1ページ1キーワード」という話があるのだが、これは1999年時点で常識化している。
近年は、Yahoo!JAPAN の検索アルゴリズムのアップデート時において改めて本件の重要性が指摘されるケースがあるが、これは SEO を行う上では大原則の話であるため、もしご存知なかった場合は、改めて覚えておいて欲しい。特定の検索エンジンの評価や仕様にかかわらず、原則として、1ページにつき1キーワードで対応したほうが良い※。
※ 実際には企業サイトのトップページや、ブランド名称の文字列によって、複数のワードで対応できることは当然あるわけだが、SEO の原則論として1ページ、1キーワードで考える必要がある。
■品質の良いリンクを集めることが大事
品質の良いリンクを集めるとは、検索エンジン的に評価が高いであろうサイトからリンクを受けることである。たとえば、一般的に多くのユーザーに利用されて人気のあるサイトから、あるいは、特定領域において著名なサイトからのリンクを指す。
またはインターネットで積極的な Web マーケティングを展開している企業の公式ブログからのリンクでもいい。こうしたサイトからのリンクは、SEO という言葉が登場した2000年前後からすでに「SEO の学習時に最初に学ぶお話」であり、「最新の SEO」という枕詞をつけて紹介するお話ではない。
■Google 検索アルゴリズムの大幅アップデートがもたらしたもの
先に「2004年時点で定着」といった話を繰り返した。2003年から2004年にかけて、Google において多くの Web マスターを混乱に陥れた、ある事件が発生したのを、ご存知だろうか。
最近 SEO に興味をもたれた方はほとんど知らないと思われるこの事件を簡単に紹介したい。
Google は2003年11月から2004年3月にかけて、同社の検索アルゴリズムに大きな変更を加えた。この一連のアルゴリズムアップデートは、Update Florida や Update Austin などと名づけられている。
Google は当時、テキスト解析やリンク分析アルゴリズムに多くの手を加えた。前者は、ページ上に出現する一連のワードや、その類義語との関連性を分析することにより、適切にページと検索キーワードとの適合性を判断できるようにした。例えば Google が認識している類義語は、キーワードの前に ~(チルダ) をつけるという話は当時の検索アルゴリズム分析時から多用されるようになった手法だ。
後者は、たとえば同一 IP または同一ドメインからの多数リンクや、リンク元ページとのキーワードの関連性に基づく評価手法の変更が行われた。当時、Ask.com がすでに行っていた Subject Specific Popularity(その後、ExpertRank にリネームされた)と類似した手法を取り入れたといわれている。
こうした、検索ランキングの算出に多大な影響を与える変更を実施したことにより、順位の大変動が起きた。不幸にも、ホリデーシーズン直前というタイミングで実施されたために、商戦期に検索からのトラフィックを得られず、月200万円相当の損失を被ったショップサイトもあったと当時の New York Times が伝えている。
当時の教訓なのか、Google はその後、ホリデーシーズン直前にアドワーズ広告や検索アルゴリズムに関する大幅な変更は行わないようになったわけだが、ともかく当時は、原因を究明しようと欧米の多くの SEO 専門家が各自調査?分析を行い、WebmasterWorld などにて活発な議論が繰り広げられた。
この結果、外部リンク構築時において注意すべきこと、アルゴリズムの変更にかかわらず、安定して順位を獲得することの重要性、その実践的手法についてのいくつものベスト?プラクティスが定義された。そう、その定着した話が、いま、「最新」として紹介されているような話だ。
■SEO は、昔からの「当たり前」の実装方法と繰り返しが大事
以上、リンク分析系の話は、「時間」「鮮度」の要素を除くと、基本的には5年以上前に出尽くしている。見方を変えれば、SEO の基本はここ6年、変わっていないことも示唆している。
最新 SEO と呼ばれるものの、とりわけリンク周りのお話は、最新ではなく、すでに世界のどこかに情報が掲載されている。幸いなことに、近年は日本語で読める SEO の話題も増えてきた。誰かが最新の?と紹介してくれる前に、自分でそれらに目を通して、勉強してみたらいかがだろうか。
SEO は、検索エンジンに適切にサイトやページの内容や評価を伝達するためのサイト構築技術の1つである。検索エンジンに安定的に、評価されるサイトを構築するためには、面倒で、遠回りながらも、コツコツと基本事項の積み重ねとコンテンツ作り、ユーザーにとって価値あるサイト作りによって成立する。
基本?原則は実は過去から変わっていないのだから、それらを改めて学習し、サイト作りに反映してみてはいかがだろうか。
(執筆:株式会社アイレップ 取締役 SEM 総合研究所 所長 渡辺隆広)
記事提供:アイレップ
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